咳が8週間以上持続する状態を慢性咳嗽といいます。かぜやインフルエンザをはじめとする感染症の場合、咳が8週間以上持続することはほとんどありません。原因を調べ、原因となる病態にそった治療をしなければ、咳止め等の対症療法では通常症状は改善しません。必ず専門医による診察を受けましょう。
● 慢性咳嗽の原因
日本における慢性咳嗽の原因疾患で一番多いのが咳喘息(気管支喘息)です。胃食道逆流症、鼻・副鼻腔疾患を加えて3大原因といわれています1)。他にアトピー咳嗽や降圧剤であるACE阻害剤による咳嗽などがあり、原因不明のことも10~20%程度あるといわれています。また、見逃してはいけない原因として肺癌・肺結核などがあります。最近、cough hypersensitivity syndrome(咳過敏症症候群)という新しい概念がでてきています2)。慢性咳嗽の根本が咳過敏症症候群とする考え方ですが、現時点では有効な診断法が開発されていません。
内服治療薬としてゲーファキピサント(薬品名:リフヌア)が保険適応となっています。
● 診断のために最低限必要な検査
咳喘息(気管支喘息):肺機能検査、呼気一酸化窒素濃度測定検査、血液検査
胃食道逆流症:問診票(Fスケール)
鼻・副鼻腔疾患:耳鼻科診察、副鼻腔CT検査
肺癌・肺結核:胸部レントゲン検査(必要に応じて胸部CT検査)
1)日本呼吸器学会、咳嗽に関するガイドライン第2版
2)Morice AH,Faruql S,Wright CE et al:Cought hypersensitivity syndrome:a distinct clinical entity.Lung 189:73-79,2011