気管支喘息は、空気の通り道である気道(気管・気管支)に慢性的に炎症が起き、気道が狭くなることで“ゼイゼイ”“ヒューヒュー”という喘鳴(ぜんめい)が出たり、ひどい咳がでて非常に長引いたりする病気です。小児喘息が有名ですが、実は成人になって発症する成人喘息の方が圧倒的に多いのです。また、最近は喘鳴がなく症状が咳中心となる咳喘息が非常に増加しています。咳喘息も気管支喘息も病態は全く一緒です。
● 喘息の咳の特徴
以下の項目に当てはまる場合は喘息の咳の可能性があります。特に4、5のどちらかが当てはまる場合はほぼ喘息の咳と考えて良いです。1)
- 1. 小児喘息の既往がある
- 2. 喘息と言われた事がある
- 3. 喘息の家族歴がある
- 4. 夜に多い咳
- 5. 咳で夜寝れないほど
- 6. 感冒時に咳が長引きやすい
- 7. 喘鳴(ゼイゼイ)の経験がある
● 喘息の診断
国際的に確立した診断基準は実はありません。国内のガイドライン 2)では、問診で上記のような喘息の症状を疑い、喘息の吸入薬を使用して効果があった場合に喘息と診断します。感染症(感冒・肺炎等)を合併していない場合は、呼気一酸化窒素濃度測定や肺機能検査で診断可能な場合もあります。
● 喘息の治療
吸入ステロイド薬が基本の薬になります。気管支の病気であるため、内服薬や貼付薬よりも直接薬を吸入した方が効果的であり、かつ副作用が断然少なくなります。気管支が狭まることが咳の原因となるため、気管支を拡張する薬(気管支拡張薬)の併用が非常に有効です。したがって、ステロイドと気管支拡張剤の配合剤の吸入薬が最も多く使用されています。
1)大江元樹.第116回日本内科学会講演会"咳診療における喘息問診表の有用性の検討
2)日本喘息学会.喘息診療実践ガイドライン2023 協和企画