気管支喘息は、空気の通り道である気道(気管・気管支)に慢性的に炎症が起き、気道が狭くなることで“ゼイゼイ”“ヒューヒュー”という喘鳴(ぜんめい)が出たり、ひどい咳がでて非常に長引いたりする病気です。小児喘息が有名ですが、実は成人になって発症する成人喘息の方が圧倒的に多いのです。また、最近は喘鳴がなく症状が咳中心となる咳喘息が非常に増加しています。咳喘息も気管支喘息も病態は全く一緒です。
● 喘息の咳の特徴
感冒に伴うひどい咳、長引く咳で以下の項目にあてはまる場合は喘息の咳の可能性があります。
(M’sダイアリー Vol.1あなたの咳、喘息ではないですか?)
- 小児喘息の既往がある(あるいは喘息と以前にいわれたことがある)
- 家族に喘息の人がいる
- ゼイゼイしたことがある
- かぜをひくと咳が長引きやすい
- でだすと止まらない咳(吐くほどの咳)
- 市販の風邪薬や咳止めがきかない
- 夜間から早朝に多く咳で眠れない
● 喘息の診断
- 1. 発作性の呼吸困難、喘鳴、胸苦しさ、咳(夜間、早朝に出現しやすい)の反復
- 2. 可逆性の気流制限(肺機能検査)
- 3. 気道過敏症の亢進(特殊な検査)
- 4. アトピー素因の存在(血液検査で環境アレルゲンに対する抗体を調べる)
- 5. 気道炎症の存在(呼気一酸化窒素濃度測定、血液中の好酸球数)
- 6. 他疾患の除外
実は喘息の診断基準というものはありません。喘息予防・管理ガイドライン2015 1)では以下の喘息診断の目安を提示しています。
つまり特徴的な症状プラス何らかの検査で診断することになります。外来で行える検査としては呼気一酸化窒素濃度測定が一番簡便です。いろいろな検査で診断できないことも多くあります。その場合は、喘息として治療してみてその効果をみて診断することも多いのです。
● 喘息の治療
吸入ステロイド薬が基本の薬になります。気管支の病気であるため、内服薬や貼付薬よりも直接薬を吸入した方が効果的であり、かつ副作用が断然少なくなります。気管支が狭まることが咳の原因となるため、気管支を拡張する薬(気管支拡張薬)の併用が非常に有効です。したがって、ステロイドと気管支拡張剤の配合剤の吸入薬が最も多く使用されています。
(M’sダイアリー Vol.6 急性の咳でお悩みの方へ)
1) 日本アレルギー学会喘息ガイドライン専門部会,喘息予防・管理ガイドライン2015 協和企画,2015